認知症先端医療推進センター教育部門長 宮崎 英士
超高齢社会を迎え、認知症を有する人の数は急速な増大が見込まれていますが、認知症の診療・ケアに携わる医療者の数は不足しています。認知症先端医療推進センター教育部門は、認知症診療・研究・ケアに関する高度な知識と技能を持った医療人の養成を行うとともに、認知症の人とご家族が安心して地域で生活できるために様々な教育支援活動を行うことをミッションとしています。
まず医療人養成に関しては、「認知症の予防、診断、治療・ケアに関する先進的研究開発を担う人材、「行動・心理症状等への専門的診療が実践できる人材、さらに「地域で認知症チームリーダーとして多職種と連携できる人材など、多様な人材を養成する必要があります。そのために、神経内科、精神神経科、総合内科・総合診療科が其々診療科の特長を生かして、それを統合した教育を展開してまいります。特に、認知症の病態解明、新しい予防法と治療法、診断方法の開発に向けた研究を自ら提案し、実行するための基礎知識と応用力を習得する教育を実践していきたいと思います。
認知症の人と家族の支援に繋がる教育活動も当部門の重要な業務です。医師会と協働して、非専門医の先生方に対する講演会等での情報提供、オレンジドクターの診療支援や認知症支援チームの配置などを行っていきたいと思います。また、自治体と協働して各地域で展開されている認知症予防・早期診断、家族への介護指導、介護保険などの社会サービスの理解の促進に関する教育活動、および市民公開講座の開催等を実施していく予定です。
これからの社会では、全ての医療者が「認知症を特別視することなく、全人的、多角的に診療・ケアできるようになることが求められます。その意味で、医学生・看護学生への認知症の実践的な教育は極めて重要です。地域医療の現場で認知症の人と家族の訴えを傾聴し、家族の介護負担軽減、在宅生活支援の視点を学ばせることで、認知症の人と家族の気持ちを尊重し、認知症の人を中心にした介護者とのチーム医療が実践できる医療者が育ってくると思います。本センター教育部門へのご支援、ご協力を宜しくお願い致します。
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