分野長(国際保健部門・教授) 川本 文彦
社会環境医学研究分野は、平成14年に学内措置で設置された大分医科大学アジア・カリブ医学教育研究センターが翌年の平成15年4月に改組され、大分医科大学・総合科学研究支援センターの一分野として統合されたものです。更に、同年10月には大分医科大学と大分大学の合併により、大分大学・総合科学研究支援センター・社会環境医学研究分野として再出発をいたしました。
社会環境医学研究分野の活動は、当然、前身のアジア・カリブ医学教育研究センターの活動であるアジア地域・カリブ地域などの低開発諸国の感染性疾患の対策に関する研究・教育が引き継かれております。従って、感染症に関する海外研究施設との共同研究、国際協力機関との教育・研究支援、これらのプロジェクトの遂行による大分大学の新しい特色作りなどが主たる活動となっており、これらの分野での発展が期待されております。特に海外研究施設との共同研究では、これまでの長い交流実績が現在も継続されて活かされており、フィリッピン・サン・ラザロ病院における医学部生の感染症に関する実地研修、ドミニカ共和国や東南アジア各国からの留学生、医師、研究者の受け入れと共同研究の推進が図られております。特に、国際交流で非常に高く評価されているのは1990年から始まったドミニカ共和国への医療技術移転プロジェクトであり、画像診断と感染症対策と疫学研究を柱とした第2次プロジェクトも大成功のうちに終了し、第3次のプロジェクトに発展する可能性が高いと思われます。愛知県で開催された「愛・地球博」のドミニカ共和国のブースでは、本学の放射線科医師たちが現地スタッフを指導している光景が紹介されていることからも、ドミニカ共和国で本学の役割がいかに評価されているかを明確に示していることであります。また、最近ではインドネシア・バンダアチェ市およびスグリ市の地震・津波被災者への医療支援活動にも参加し、大きく報道されました。
専任教官数も少なく、専用の建物も無い状態でありますが、学内外のご協力を得ながらすばらしい研究成果をあげ、それを社会に還元できるよう頑張っていく必要があり、全員が努力していきたいと思います。