昭和55年に麻酔学教室が開設され、附属病院開設時は当初教室員7名でスタートしましたが、
この20年間、臨床の科としての麻酔科は大学内では多くの科、常勤医の赴任した多くの
連携病院と深い関わりを持つようになりなりました。
現在では教室所属人数が50名を越え、教室が社会に及ぼす影響も決して少なくないと考えられ、
教室の運営方針も病院全体、医療全体、社会との調和を考えて行くべきであると考えます。


麻酔科学教室は大分大学 医学部附属病院の中にあっては、中央手術部の運営に参加し、
昭和57年度に1700例程度で会った手術件数が平成13年度には4100件と著増を示しました。
これはベッド数600床規模の新設医科大学にありましては、全国でも突出した数字であり、
外科系各科のactivityの高さ、看護部、パラメデイカルスタッフ、麻酔科スタッフ一同の
がんばりに感謝する次第です。


集中治療部は麻酔科学教室の大きな活動分野の一つですが、昭和60年に開設され、
現在ベッド数6床の運営を行っております。周術期の重症患者のみならず、中毒、外傷、
内科的疾患も取り扱い、この間に治療した患者は4000名を越しております。
この集中治療部における活動は、新設医科大学の中におきましては有数のものと考えます。


また麻酔科学の活動分野の一つとしてペインクリニックがありますが、外来を週に5日、
入院6床で疼痛を主訴とする患者、癌性疼痛患者の治療を行って参りました。
また従来のブロック治療経験を生かした多汗症患者の胸腔鏡下の交感神経切除は
既に200例以上に達し、硬膜外鏡下硬膜外腔癒着剥離術による「Failed Back Surgery
Syndrome」の治療などペインクリニックの新たな分野の治療を試みております。


研究に関しましては、従来のメインテーマは悪性高熱でありましたが、
現在は熱ストレスのみでなく、エンドトキシン、虚血、など様々な侵襲時の
肝・腎・肺・中枢神経などの急性臓器障害と全身反応を臓器血流、サイトカインネットワーク、
アポトーシス、ショックタンパク等の各種生体反応から明らかにし、
また疼痛モデルとしてアロデニア作製など、動物実験系の作り替えを行い、
非常に多数の学会は発表を行っております。


臨床研究におきましては、経食道エコー、ドップラー血流測定による各種麻酔、侵襲時の心、
脳循環系に与える影響、ホスホジエステラーゼ阻害剤の循環・免疫系への作用、
周術期栄養・代謝、各種ショック時のサイトカインネットワークの反応、血液浄化法に関する
ものが行われ、全身の臓器を含めた広範囲なものとなりつつあります。
今後、私どもの教室は麻酔科学、集中治療医学を含めた
周手術期の侵襲学を中心として、疼痛管理、感染、ショック、
異常体温、各種臓器障害、人工臓器など侵襲全体を包括した
急性相生体反応と侵襲の防御、治療に関した臨床、
実験研究を行い、麻酔科学が患者の治療成績向上の
一助になることを医局員共々ねがっており、二十一世紀の
医療のためにより一層の臨床、研究の充実を図って
行く所存でございます。
大分大学 医学部 麻酔科学講座 / 野口隆之
Department of Anesthesiology,Oita University Faculty of Medicine,2006.2007.All Rights Reserved.