大分大学附属病院に心臓血管外科が新設され,20年以上経過しております.(それまでは,旧外科第二のなかで心臓血管外科診療班として診療研究にあたってきました.)心臓血管外科は高齢化社会における代表的疾患である動脈硬化を基盤とした心臓病・大動脈疾患・末梢血管疾患あるいは炎症性・外傷性・先天性の疾患を対象としていますが,なかでも現在の手術対象の多くは冠動脈バイパス手術,加齢に伴う心臓弁膜症,胸部および腹部の大動脈瘤,大動脈解離,下肢の動脈閉塞疾患などです.また,心臓大血管疾患には,致命的ともなる狭心症・心筋梗塞・大動脈瘤破裂・大動脈解離など緊急を要する疾患が多く,循環器救急には力を入れています.少ないスタッフでありますが,麻酔科や救急部と緊密な協力のもとに365日24時間体制で診療にあたっています.年間の症例数は心臓大血管手術が約250例以上,腹部大動脈手術90例,末梢血管手術が40例,その他、放射線科と合同で,大動脈ステントグラフト植え込み術を70例以上行っており,年間手術総数は380例を超えております.
 
 
  2010年 2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年
胸部大動脈手術 99
113
90
59
46
54
うちステントグラフト 32 60
弁膜症手術 66 50
51
52
58
56
冠動脈バイパス合併 12 16
単独冠動脈バイパス 58
50
63
63
89
80
その他心臓 16
22
6
15
16
13
腹部大動脈 94
72
48
37
33
26
うちステントグラフト 40 33
末梢血管手術 40
48
52
44
28
24
PaceMaker 10
19
50
51
53
37
その他 6
7
7
4
合計 389
374
370
321
308
278(例)
 
 
主な検査・治療
 
虚血性心臓病
  狭心症にたいする冠動脈バイパス術急性心筋梗塞の救命手術(心臓破裂・心室中隔穿孔)などが対象となります.
 
弁膜症手術
高齢化に伴った大動脈弁狭窄・閉鎖不全,僧帽弁閉鎖不全が増加しています.特に,大動脈弁狭窄では80 歳を過ぎた方でも人工弁置換により大変元気になられます.弁膜症を加療せず放置しておくと,心臓の機能も低下していくため,手術を受けることの危険性も高くなります.症状がある方には,積極的に手術をお勧めしています.
大動脈弁形成術ー別ページ参照
 
大動脈瘤
  腹部大動脈・胸部大動脈とも直径が5cm を越すと,破裂する危険性が急激に増大します.破裂すると,致死的であることが多く,また運良く病院まで搬送されても,手術の成績は待機手術症例に比べて,悪いものとなります.したがって,5cm以上の大きさになった場合は,手術をお勧めしています.
 
大動脈解離
大動脈の壁がはがれる(動脈の壁の内側の膜が裂ける)疾患で,高血圧の治療が適切に行われていない方は注意が必要です.緊急の人工血管置換で救命出来ます.
 
大動脈ステントグラフト治療-別ページ参照
閉塞性動脈硬化症
下肢の動脈閉塞により,歩行時の下肢疼痛,足趾の痛みを伴った潰瘍形成には細い血管でもバイパス手術を行います.時期が遅れると下肢切断になります.
 
下肢静脈瘤
 

下肢静脈瘤に対し、外来での弾性ストッキング指導や生活指導、静脈硬化療法を行っています。また、手術は静脈抜去術を、全身麻酔もしくは腰椎麻酔にて行っています。入院期間は35日間です。低侵襲かつ再発率の少ない手術を行っています。

 
補助人工心臓
重症心不全(急性心筋梗塞・心筋炎・心筋症など)に補助人工心臓を用いて循環管理を行います.当科で開発した補助人工心臓が臨床応用可能になりました.