大分大学医学部皮膚科学講座

【研究】コチニール色素によるアナフィラキシー その検査法の確立と症例解析

当科ではコチニール色素アレルギーの研究を行っています。施設からの依頼があれば、プリックテストのためのコチニール色素抽出液を調整し、配布するとともに、症例を集積し解析を行います。

コチニール色素は主にペルーで生産されるサボテン科のベニコイチジクなどに寄生するエンジムシの雌の乾燥体より抽出された色素で、世界中で食品や化粧品の赤色系の着色に広く利用されています。近年、各国でコチニール色素の即時型アレルギーの症例が報告され、そのほとんどに重篤なアナフィラキシーを生じることから、2012年5月、消費者庁からコチニール色素の注意喚起が出され、テレビや新聞にもとりあげられました。

本アレルギーの最大の特徴は、ほとんどが成人女性に発症し、患者さんの多くは食品でアレルギーを生じる以前に、赤色系の化粧品で皮膚炎を生じた既往があり、最初に化粧品に含まれた色素で感作された可能性が高いと推測されています。

本邦でのコチニール色素による即時型アレルギーの診断は、主にプリックテストと特異的IgE抗体の測定(保険未収載)によってなされています。


本邦におけるコチニール色素アレルギーの報告症例数の推移

参考文献

  1. 竹尾直子, 仙波京子, 片桐一元, 藤原作平, 廣重滋夫, 大西邦義, 鈴木幸雄:コチニール色素によるアナフィラキシーの1例. 日本皮膚科学会雑誌118(6), 1085-1093, 2008.
  2. 竹尾直子, 波多野豊:コチニール色素アレルギーと経皮感作. MB Derma 245, 35-39, 2016.
  3. Naoko Takeo, Masashi Nakamura, Satoshi Nakayama, Osamu Okamoto, Naoki Sugimoto, Shinichi Sugiura, Susumu Harada, Masao Yamaguchi, Naoya Mitsui, Yumiko Kubota, Kayoko Suzuki, Makoto Terada, Akiyo Nagai, Junko Sowa-Osako, Yutaka Hatano, Hiroshi Akiyama, Akiko Yagami, Sakuhei Fujiwara, Kayoko Matsunaga: Cochineal dye-induced immediate allergy: review of Japanese cases and proposed new diagnostic chart. Allergol Int, in press, 2018.
Page Top