[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

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大学病院における臨床試験活性化の流れ 

 

 日本は高い科学技術を持った経済大国であり、医療レベルも高いことが知られています。そして欧米の一部の国とともに新しい薬を開発できる国でもありますが、現在、新しい標準薬として国際的に推奨されている薬のうち、3割がまだ国から正式な承認を受けていない状態(未承認薬)であることが大きな問題となっています。このことは何より病気に苦しむ患者さんにとって福音となる新薬が早く届かないという問題に加えて、医師にとっても、新薬に対する知識や経験が外国の医師と比べて数年以上遅れる、さらにはその薬が日本で承認を受けても実際の治療で日本人における資料が少なく、科学的で合理的な治療を行う環境が整わないという問題につながります。
 このため、現在日本では国をあげて、医薬品開発における臨床試験(治験)の活性化に取り組んでいます。この流れの中で、本院は、これまで臨床薬理学研究および教育を推進してきた功績が認められ、文部科学省より「豊の国臨床試験推進ネットワークモデル事業」および、日本医師会から「大規模治験ネットワーク基盤整備研究事業」の二つの助成を受けました。現在、大分県内の国立病院機構や医師会立病院など、30の医療施設と地域ネットワークを形成して、質の高い、倫理的な臨床試験の普及に取り組んでおります。
 何といっても、新しい薬を創る(創薬)および育てる(育薬)医薬品の開発には、患者さんをはじめ、ボランティアの方々のご協力が不可欠です。本院で行われる臨床試験(治験)については当臨床薬理センター創薬オフィスが窓口となり、みなさまへのご案内を行っているほか、ご質問やご相談をいつでも受け付けております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

( 臨床薬理センター創薬オフィス 電話:097-586-6114 )

※薬が有効で安全かどうかを患者さんや健康な人に協力していただいて調べる試験のことを「臨床試験」といいます。この臨床試験の中で国(厚生労働省)から製造販売の承認をしてもらうための試験を「治験」といいます。

 

大分県内の病院が参加している 豊の国臨床試験ネットワーク会議

 

(文責 臨床薬理センター 森本卓哉)

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成