SARS拡大なら、北京での国際会議中止の事態も

 【北京=東一真】中国では、工場が集積する広東省を中心に悪性肺炎
「重症急性呼吸器症候群」(SARS)が猛威を振るっている。 同省広州
市にある広州ホンダでは現在、生産能力の増強計画などが進行中で、
このため、本社からの出張者が常時100人以上滞在しているが、ホンダ
が4日から中国への出張を見合わせることにしているため、増強計画な
どに支障が出る懸念もある。

現時点では、日本からの出張の自粛以外、日系企業に目立った動きはな
く、広州日立エレベータや、広州松下空調器でも「生産や物流に特に影響
はない」としている。ただ、患者が今後、中国本土に広がるとの見方もあり、
日系企業への影響は楽観視できない。

一方、SARSの拡大を受け、ダボス会議を主催する「世界経済ファーラム」
は、14―15日に北京で開催を予定していた「中国ビジネスサミット」の延
期を決めた。

今月下旬には、国連の世界知的所有権機関(WIPO)が北京で「知的財産
権サミット」を予定しているが、SARSが拡大すれば、これらの国際会議が
中止される事態も予想される。

(2003/4/3/20:07 読売新聞)