国立感染研が新種コロナウイルス検出、診断応用へ期待

新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の患者の肺組織などを分析していた国立感染症研
究所は6日、SARSの主因とみられる新種のコロナウイルスを検出したことを明らかにした。
米疾病対策センター(CDC)も、「世界保健機関(WHO)の研究協力ネットワークに参加している
研究施設の大半で検出に成功した」と発表。中国の専門家が「クラミジアが原因」と主張する中、主因が
コロナウイルスであることは一層確実となり、診断への応用が期待される。

同研究所は、ウイルスの遺伝子の一部を化学的に増幅して検出する「PCR法」を利用。香港などSARS
流行地から送られてきた数十人分の患者の肺組織や分泌物などを分析した。その結果、すでに発症した患者
のほか、潜伏期に採取した検体の一部からも、ウイルスの遺伝子が見つかった。

SARSは、発熱や肺炎などの症状で診断されており、普通のかぜなどとの区別が困難だったが、今後は、
コロナウイルスの遺伝子や、体内にできる特有の免疫物質(抗体)を検出することで、確実に診断できる。
同研究所が、感染が疑われた国内の患者についてPCR法で調べたところ、感染は否定されたという。

WHOによると、5日現在、患者は20か国・地域で2416人、死者は89人に上っている。

(2003/4/6/20:29 読売新聞)