肺炎騒動で児童の転入拒否、一転OKに…三重県長島町

新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)が流行している香港の日本人学校に通う
小学5年生男児の母親から出されていた小学校転入の希望を「感染していないと確認で
きるまで、受け入れは困難」と事実上、拒否していた三重県長島町教育委員会は7日、
一転、無条件で転入を認めることを決めた。県教委から「症状が見られないのに、勉学
の機会を奪うことはできない」と指示されたためで、町教委は8日にも、町内在住の親
類を通じ、母親の意向を確認する。

県教委によると、長島町のほか県内5市町で、香港在住の約10人から小学校や幼稚園
への転入希望があるという。

県教委は7日に対応を協議した結果、「転入に条件をつけることは、学校保健法上でき
ない」と判断。SARS流行地域に2月1日以降居住していたり旅行したりした児童・
生徒については、転入後〈1〉健康状態を観察する〈2〉帰国後、潜伏期間の10日以
内に38度以上の発熱や呼吸器症状が出た場合は病院で受診させ、必要に応じ出席停止
などの措置を取る――ことを各市町村教委に通達した。

受け入れについて、長島町内の複数の小学校のPTA役員はいずれも「受け入れは妥当
と思うが、安全確認は徹底させてほしい」と訴える。「未知の病気の不安がいきなり身
近に来て、保護者から心配する声が上がるのは避けられない」と話す役員もいて、不安
は押し隠せない様子だった。

(2003/4/7/21:49 読売新聞WEB版)