新型肺炎 香港3ルートで拡大

研究チーム、最初の10人の感染分析

香港大学などの研究チームは、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の
世界的流行の発端となった香港での初期感染経路の詳細を明らかにした。第1号の患者
から3つのルートで感染が広がり、病院の看護師らを通じて拡大している。患者と密接
に接触せず、同じホテルで宿泊していたり、同じ病室にいたりしただけの人でも感染し
ているのも特徴だ。

香港で最初のSARS患者は、中国広東省の病院で働く64歳の医師で、2月21日に
観光のために香港にやってきた。この医師は翌日、体調が悪くなり、病院の集中治療室
に収容された。

この医師と一緒に観光していた53歳の男性がまず感染。医師が収容された病院の処置
室で別の仕事をしていた看護師と、医師が宿泊したホテルの同じ階にいた男性も、感染
した。その後、この病院の看護師や同室の患者へと、次々に肺炎が広がっていった。

初期の患者は35歳から72歳の男女各5人で、このうち2人が死亡している。

この研究結果は、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(電子
版)に掲載された。

( 2003年4月4日付 読売新聞)