戦争と新型肺炎が直撃、収益悪化に頭を抱える航空各社

【香港=深沢淳一】イラク戦争に続き、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の
影響もあって減便の拡大に歯止めがかからないアジア・太平洋地域の航空各社が、業績悪
化への懸念を強めている。人員削減などのリストラも加速しそうだ。

域内経済の成長に支えられ、米同時テロ後も高い搭乗率を維持してきたアジアの航空会社は、
欧米各社に比べて業績は好調に推移してきた。しかし、イラク戦争に続き、突然降りかかった
SARSの影響で、3月下旬以降の搭乗率は米同時テロ直後を上回る勢いで低下しており、
深刻な事態に陥っている。

特に打撃が大きいのは、SARS感染者が中国本土に次いで2番目に多い香港を拠点とする
キャセイ航空とドラゴン航空だ。キャセイの平均旅客数は前年同期の3分の1に減少し、
同社は11日、減便数を運航本数の37%まで拡大する計画を発表した。ドラゴン航空も
運航本数の約半数を減便している。

シンガポール航空、マレーシア航空、ガルーダ・インドネシア航空なども軒並み本数を減
らしているが、需要減が予想を上回るペースのため、何度も追加減便を繰り返している状況だ。

このため、「上半期の収益に大きな打撃を受ける」(キャセイ航空)など各社の業績悪化は
必至で、JPモルガン証券はキャセイの今年の収益見通しを38億香港ドル(約600億円)
から30%下方修正した。

(2003/4/11/23:03 読売新聞WEB版)