新型肺炎の経済損失300億ドル

スイス・ジュネーブの世界保健機関(WHO)は11日、新型肺炎(重症急性>
呼吸器症候群=SARS)による経済損失が世界ですでに300億ドルに達した
との推定を明らかにした。

WHOがSARSの重大性を初めて警告してから約1か月が過ぎたのを機に現状を説明した。

この中で「SARSの起源は中国広東省」との見解を示したうえで、発生状況や
感染経路の調査を巡り中国政府に依然問題があるとし、「患者の早期発見と拡大
防止はすべての国の責任」と、警戒を求めた。

SARSの危険性については、エボラ出血熱や西ナイル熱などと比べ、
〈1〉最初の症状が風邪と似ていて見分けにくく感染を広げやすい
〈2〉人から人へ直接うつる
――などの点から「交通網を通じて急速に拡大する」と指摘。医療関係者に被害が
集中するため、感染が拡大すると治療に差し支えることも「極めて危険」と警告した。

さらに最初の感染が何らかの動物から起きたとの指摘もあるため、食糧農業機関
(FAO)などと共同で発生地域の動物の感染状況などに取り組む方針も示した。

最新の世界の症例数については、2890人で死者は116人と発表。WHOの
基準改訂を受け、日本が報告した4例の感染「可能性例」も含まれる。

(2003/4/12/14:12 読売新聞WEB版)