団地のSARS集団感染、排水管の水蒸気が原因 香港

香港・九竜湾の民間団地アモイガーデン(淘大花園)で発生した
新型肺炎の重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団感染で、
香港政府は17日、SARSウイルスを含んだ水蒸気が排水管を
通じて下水管から浴室に流れ込んだのが原因とみられる、と発表した。

同衛生署によると、排水管にはU字に曲がった部分があり、水がたまって
害虫や臭気を遮断する仕組みになっている。しかし、水がない状態で
浴室を密閉し、換気扇を回すと、気圧の変化によって下水管内の空気が
浴室に入ることを確認した。

感染者の排泄(はいせつ)物にもウイルスが確認されていることから、
下水管から水しぶきや水蒸気に混じって各戸の浴室にウイルスが拡散したらしい。

これを防ぐには、あまり使わない排水口にも薄めた消毒液を流すなど、
U字部分に水を切らさないことが重要という。

発生源となったのは郊外の病院に通院していた深セン在住の男性とみられる。
男性はアモイガーデンE棟の中層階に住む弟をしばしば訪れていた。

同じ下水管を使っているE棟7、8号室に多くの感染者が出ている。

香港政府は17日、新たな感染者が29人報告され、累積感染者数が
1297人となったと発表した。4人が死亡し、死者は65人になった。

(2003/04/17 21:56 朝日新聞WEB版)