新型肺炎で予約半減、旅行・航空業界に打撃

「米同時テロ以降、不景気やイラク戦争の影響で海外旅行が
伸び悩んでいるのに、唯一、望みが持てた中国・アジア方面が
新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)直撃を受けたの
は痛い」。大手旅行会社の関係者は、一様に嘆く。

日本旅行業協会によると、大手旅行5社のアジア方面ツアーの
予約状況は、今月が前年同期比で49%減、5月は65%減と
激減している。

WHOの渡航自粛勧告を機に、JTBや日本旅行など各社は、
4月中の中国・広東省と香港へのツアー中止に踏み切った。
直接の影響を受けたのは、JTBでは344人だが、同社は
SARSの影響でアジア方面へのツアー客は、4月だけで
前年比で一万数千人ほど減少するとみる。

特にゴールデンウイーク期間中の海外旅行客は前年比36%減
の約31万人で、過去10年では最低となる見通し。香港に
至っては前年より88%減という状況。

航空業界も大きな痛手を受けている。日本航空グループは、
WHOの勧告が出た今月3日だけで、この日以降の中国・
東南アジア方面の予約をキャンセルした客が約5000人
に達した。特に香港線で空席状態が目立ち、広東省や香港
への直行便は週44便から18便に減便している。

全日空も同様で、団体旅行のキャンセルは4月だけで
約1000人に上り、東京―香港線は週14便から7便に半減した。

(2003/4/18/21:46 読売新聞WEB版)