北京の新型肺炎患者、実は9倍…市長ら党職解任

【北京=竹腰雅彦】中国の高強・衛生省次官は20日、北京市で
記者会見し、同市の新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)
感染者数は、これまでに公表していた37人の約9倍に当たる
346人で、死者数も4人ではなく18人であると発表した。

高次官はまた、感染の疑われる人がほかに402人おり、「確認が
進めば感染者数はさらに増える」との見方を示した。北京の感染
状況を巡っては、世界保健機関(WHO)が、当局の「患者隠し」
による感染拡大の可能性を指摘していた。

北京での感染実態が明らかになったことで、18日現在の中国本土
の感染者数は1807人、死者は79人となった。大幅なデータ
修正で、当局はこれまでの情報統制を認めた形だ。SARS感染が
なお広がりつつある中、中国への国際的批判が高まるのは確実とみられ、
発足間もない胡錦濤政権にとっても、大きな痛手になる可能性がある。
中国国営新華社通信は20日夕、党中央が、孟学農・北京市長と
張文康・衛生相の党職務を解いたと伝えた。SARSへの対応を
巡る不手際で更迭されたものとみられる。

感染者数の大幅な上方修正について高次官は、「市や軍など、
所属の異なる病院間の連携が不足し、政府の指導も不十分だった」
と過去の統計が不完全だったことを認めた。

WHOによると、SARS感染者数は19日現在、3547人、
うち182人が死亡した。

(2003/4/20/21:57 読売新聞WEB版)