食材の野生動物が発生源か…新型肺炎で中国紙

【香港=関泰晴】新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の
発生源は、中国南部・広東省で地元住民が好んで食べている野生
動物ではないかと疑う見方が出ている。

中国系香港紙「文匯報」は24日、広東省政府が「野味(野生
動物を材料とする料理)」を売り物にするレストラン全店の
営業許可証を取り消す考えだと報じた。

野生動物に最初に疑惑の目を向けたのは、香港大の研究チーム。
今月16日にSARSの原因となるコロナウイルスの遺伝子配列を
解読したと発表した際、動物、中でも、食用にされる野生動物から
人間に感染した可能性を指摘した。

研究チームの袁国勇教授は、「ウイルス発生源の動物を特定する
ことはワクチン開発に近づく。広東省の人々が食べる色々な野生
動物の血清で抗体を調べたい」と話す。

同省での初期の感染者は、「野味」の材料の野生動物を扱う業者や
調理師が多かったとの報道もある。

「食在広州」(食は広州にあり)と言われ、同省の人々は「野味」
を食文化の一つとして珍重、イタチ科の肉食獣であるクズリのほか、
センザンコウなどを食べている。生息数の減少が心配される動物も
あるが、広州の市場などでは自由に売られている。レストランで
「野味」は、1品1000元(約1万6000円)前後の高級料理
になっている。

(2003/4/24/20:59 読売新聞WEB版)