新型肺炎でASEANと日中韓が声明…出国時にも検疫

【クアラルンプール=中津幸久】新型肺炎(重症急性呼吸器症
候群=SARS)対策を協議する東南アジア諸国連合(ASE
AN)と日本、中国、韓国の保健担当相会合が26日、クアラ
ルンプール郊外のホテルで開かれ、情報交換のためのホットラ
インの設置や感染が疑われる患者の渡航禁止を盛り込んだ共同
声明を採択した。

声明はSARSを「地球的な脅威」と位置づけ、域外に向けて、
全世界的な取り組みの必要性を訴えた。

声明は「SARSの拡大阻止が健康と経済の主要な問題になり
つつある」との認識を示し、これに対処するためには地域的、
国際的な集団努力が求められていると強調。

具体的対策として、各国政府内に情報交換のための「接点」を
指定、緊急時の意思疎通を図るため、ホットラインを設けるこ
とで一致した。

また、空港など陸海空の出入国地点で、乗客に入国時だけでな
く出国時にも検疫を実施、SARSと疑われる乗客は出国させ
ないこと、感染国・地域からの旅行者に対し、健康申告カード
の記入を義務づけることで合意した。

ただ、会合ではこうした措置が過剰な出国制限につながること
を懸念する声も出たことから、声明は対策実施に当たって「各
国の国内情勢や保健制度に配慮する」との文言を盛り込むとと
もに、感染地域からの渡航者に対する差別反対キャンペーンの
実施もうたった。

域内では29日にバンコクでSARS対策のASEAN緊急首
脳会議が開かれるが、声明は肺炎のまん延を抑えるためには、
一層の財政支出などが必要になるとして、同会議に向け、各国
首脳のリーダーシップに期待を表明した。

会合に出席した坂口厚生労働相は、国内対策として〈1〉搬送
体制の整備〈2〉病院内の体制強化の2点に重点を置き取り組
む姿勢を強調した。

(2003/4/26/22:05 読売新聞WEB版)