結婚届も映画もゲーセンもダメ…新型肺炎で北京

【北京=浜本良一】新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SAR
S)の感染が拡大する中国・北京市(人口約1300万)では、
市当局が27日までに、娯楽施設に休業を命じたり、結婚式で
の感染を防ぐため婚姻届受理を中止するなど、異例の感染拡大
防止策を次々と打ち出す非常事態に陥っている。

市民は外出を控え、週末の繁華街は人影もまばら。地方か
らの出稼ぎ農民は北京を脱出しようと駅へ急いだ。SARSに
脅える首都は、重苦しさに包まれている。

市当局に休業が命じられたのは、映画館、劇場、ディスコ、
カラオケバー、ゲームセンターなど。SARSによる死者の葬
儀も禁止され、人が多く集まる場所を極力減らし、感染拡大の
封じ込めを図った。
市内の3病院は院内感染のため封鎖され、感染者と接触した疑
いのある市民約4000人も外出禁止に。市内の名門・清華大
学では留学生の外出に先立ち、大学の許可が必要になり、留学
生寮に住む日本人学生の1人は「しばらく、じっとしているし
かない」と嘆いた。

目抜き通りの交通量は普段の週末の2―3割。大型スーパーな
ど商業施設はどこも閑古鳥が鳴く寂しさ。多くの市民は食料品
などの買いだめを終え、自宅で息を潜めているようだ。

市当局はまた、SARSの地方拡大を防ぐため、300万人と
言われる地方からの出稼ぎ農民が北京から離れないよう通達を
出した。だが、北京駅では「SARSが怖くなったので家政婦
の仕事を辞め、故郷に帰ります」(河北省出身の21歳女性)
などと話す農民が、争うように列車へ飛び乗っていた。

(2003/4/28/02:16 読売新聞WEB版)