ベトナムとWHO、新型肺炎の国内制圧を宣言

【バンコク=奥村健一】ベトナム政府と世界保健機関(WHO)は
28日朝、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)のベトナ
ム国内での制圧を宣言した。世界各地で被害が拡大する中、ベトナ
ムは最初の制圧成功例となった。

WHOは同日中にも、SARSの国内感染が確認された「汚染地域
リスト」からベトナムを削除する。

ベトナムでは死亡5人、感染63人が報告されたが、同国政府に
よると、今月8日に北部ニンビン省で患者が確認された後、新規
感染者は出ていない。WHOは、20日間、新規感染が確認され
なければ制圧と判断できる、としている。

もっとも、同国政府は「観光を通じたSARSの流入の脅威は大
きい」として、制圧後も警戒を怠らない姿勢を強調した。ベトナ
ムは、感染者が急増する中国と国境を接するほか、シンガポール
など東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国などとの往来は年々
活発化しているからだ。このため、首都ハノイや北部国境地帯な
ど4か所に検疫センターを設置するほか、保健省はファン・バン・
カイ首相に対し、中国との国境を一時閉鎖するよう要請した。

医療水準の低いベトナムが制圧に成功した背景には、WHOや
日本、フランスなど国外からの支援を初期段階から積極的に受
け入れ、適切な隔離や情報公開を行ったことが挙げられる。

(2003/4/28/12:31 読売新聞WEB版)