新型肺炎でアジア成長率0・1〜0・2%減速見通し

アジア開発銀行(ADB)は28日、アジア・太平洋地域(日本
などの先進国と北朝鮮を除く)の実質成長率の見通しなどをまと
めた「2003年アジア開発展望」を発表した。

地域全体の2003年の国内総生産(GDP)実質成長率は、
イラク戦争などの影響で、前年比で0・4ポイント低い年
5・3%となった。新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)
が猛威をふるっている中国、香港などの東アジアは同0・9
ポイントも低下、年5・6%にとどまると予測している。
SARSは当面、全体の実質成長率を0・1―0・2%引き
下げるが、終息が遅れれば、さらに打撃が懸念されると指摘した。

予測によると、全地域の今年の実質成長率は、アメリカなど
主要先進国の景気低迷にイラク戦争、SARSの影響などが
重なり、東アジアのほか、中央アジアも前年より1・9ポイ
ント低い5・8%と減速する。

東アジアを国・地域別に見ると、中国は7・3%と依然、高
成長を維持するが、失業率の上昇や財政赤字の拡大などを背
景に伸び率はやや鈍化すると指摘した。韓国も、朝鮮半島の
「地政学的リスク」などが成長の阻害要因となり、前年比
2・3ポイント低い4・0%になるとしている。香港は
2・0%と前年比で0・3ポイントの低下にとどまるが、
SARSが実質成長率を0・6%押し下げると見通した。

(2003/4/28/20:05 読売新聞WEB版)