新型肺炎で中国最大級・広州交易会の契約額76%減

【広州(中国広東省)=関泰晴】毎年春と秋に開かれる中国最大
級の輸出商談会・広州交易会が30日閉幕した。新型肺炎(重症
急性呼吸器症候群=SARS)の影響で、契約成立額は44億2
000万ドルにとどまり、過去最高を記録した昨年秋の184億
7000万ドルに比べ76%の激減となった。

来場者数は、前回比約83%減の2万3128人。SARS流行
で世界保健機関(WHO)が4月2日に渡航自粛を勧告した影響
が、まともに出ている。関係者によると、前回7000人以上
だった日本人来場者も200人前後となった。

交易会事務局の徐兵次長は30日の記者会見で、「今回は特殊な
条件下で開かれ、かつてない困難に直面した」とSARSの影響
を認めた。交易会延期を求める声も出た中で、強引に開催を強行
した中国は、完全にメンツを失った格好だ。

30日早朝に早々と商品を整理していた出店者は、「商談成立額
は前回の5%。今回は開催を延期するべきだった。SARSの影
響が続いていたら、次回は参加しない方がよいかも」と恨めしそ
うに話した。

交易会の来場者を当て込み、価格をつり上げる広州のホテルも、
軒並み全滅状態だ。5つ星の高級ホテルでは、開催直前の4月
15日に1泊850ドルを提示していたが、閉幕日前には1泊
約100ドルに値下げした。

1957年に始まった交易会の春秋合計の契約成立額は、例年、
中国の年間輸出額の10%を超え、中国の輸出動向を占うバロ
メーターの役割を果たしている。今回は、過去最大の9128
社が出展を申し込んでいたが、閑古鳥が鳴く結果となった。広
州に事務所を置く日系企業の責任者は「商談が止まり、納期が
遅れるなど、製造業に影響が出ることが怖い」と今後の行方を
懸念している。

(2003/5/1/01:12 読売新聞WEB版)