新型肺炎、政府が対策本部設置も検討

政府は1日、首相官邸で新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)
に関する関係閣僚会議の初会合を開き、〈1〉SARSが流行してい
る中国本土と香港からの帰国者への検疫を強化する〈2〉海外で邦人
の感染者が出た場合、日本からの医師を派遣する――などの対策を決
めた。政府は今後、日本人の感染者が確認された場合、小泉首相を本
部長とする省庁横断の「対策本部」を設置する方針だ。

関係閣僚会議には、坂口厚生労働相、福田官房長官、扇国土交通相、
遠山文部科学相、茂木敏充外務副大臣が出席した。

厚労相は中国などからの帰国者への検疫強化について、「帰国後10日
間は周囲との接触を避け、外出時はマスク着用をする」ことを求める
「健康カード」の配布を日本国内の主要空港で始めたことを報告。今後、
帰国者が入国する際、原則的に体温を測定する方針も明らかにした。

体温測定では、38度以上の発熱がある場合、検疫所の医師が詳しく診察
する。法的な強制力はないが、感染の疑いがある人の早期発見が目的だ。

日本人感染者が確認された場合、政府全体の対策本部を発足させるのは、
外務、厚生労働両省などの連携を改善し、政府が一元的に対応する必要
があると判断したためだ。

政府には1日現在、国内でのSARS感染について「疑いがある」例が
5件、「可能性がある」例が2件報告されている。海外の日本人に関し
ては、フィリピンで2人、ロシアで1人が検査入院し、マレーシアでも
2人が隔離されているが、いずれも感染は確認されていない。

(2003/5/2/03:03 読売新聞WEB版)