新型肺炎、上海でも初めての死者

 【上海=伊藤彰浩】中国・上海市政府は8日、新型肺炎(SARS)のまん延を食い止めるため、患者発生地域から同市内に戻った市民に対し、2週間の自宅待機を義務づける通告を発表し、即日施行した。上海では同日、初めてSARSによる死亡者が出た。  警戒はさらに強まる見込みだが、流動人口を含め1600万人が居住する大都市で、通告がどの程度、厳格に実践されるかは不透明だ。  通告は、SARS患者発生地から戻った市民に対し、「“隔離場所”から離れてはならず、外部の人間と接触しないこと」などを義務化。上海への来訪者に対しては、健康記録や行動記録を居所の責任者に提出することを求めた。「隔離」の場所や内容は具体的に定められていないが、同市当局者は本紙の問い合わせに対し、個人的見解とした上で、「自宅で待機し、職場に出たりしないことだ」と説明した。  もっとも、同日、隣接する浙江省を訪れ、上海に戻った複数の市民の話によると、高速道路上の市境では、検疫所で検温や問診票の記入が求められるものの、「隔離」に相当するような強制措置は取られていない。ただ、地方出張中の邦人の間では、「直ちに隔離されるのではないか」との不安が高まっており、在上海日本総領事館では通告の具体的運用について情報収集を急いでいる。 (2003/5/8/21:23 読売新聞 厚生労働省の新型肺炎(SARS)対策専門委員会は8日、
肺炎症状が出た場合に限定されていた「可能性例」患者の定
義を従来より広範な内容に変更し、軽症の「疑い例」患者で
も、ウイルス検査が陽性となった場合は、可能性例として取
り扱うことを決めた。

原則、すべての患者について検査が行われ、発症の3週間後
をめどに、症状がなくなった人の再検査も実施する。

今回の措置は、世界保健機関(WHO)の患者定義の変更を
受けたもの。可能性例は、2次感染を広げる恐れがあるとし
て、入院勧告など法的な強制措置が取れる。疑い例は、任意
の自宅待機にとどまる。

(2003/5/8/14:25 読売新聞WEB版)