新型肺炎死者500人突破

【ジュネーブ=大内佐紀】世界保健機関(WHO)のヘイマ
ン感染症対策部長は8日、国連欧州本部内で記者会見し、新
型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染拡大を防
ぐため、台湾の台北、中国の天津と内モンゴル自治区への渡
航自粛勧告を発表した。

WHOは、すでに中国の北京、山西省、広東省と香港に同
勧告を出している。

ヘイマン部長はまた、これまで多数の感染者が出ている香港、
カナダ・トロント、シンガポールについてはほぼ峠を越え、
感染が抑えられつつあるとの認識を示した。なお感染が拡大
している国は中国に絞られてきた。同部長は、中国の病院に
人口呼吸器や酸素マスクなどの備品を提供、病院関係者に適
当な訓練を施すための国際基金を創設するべきだと強調した。

一方、SARSによる中国の死者は前日より5人増えて224
人、香港の死者も4人増えて208人となった。7日までの
WHOの発表と合わせると、世界全体の死者は504人とな
り、ついに500人を突破した。可能性例を含めた感染者数
は、7000人を突破した。

◆渡航自粛勧告=必要不可欠でない限りは渡航は避けた方が
いいという趣旨で、WHOが独自に判断する。対象地域は
日々見直されている。乗り継ぎ目的の空港利用には当てはま
らない。

(2003/5/8/22:08 読売新聞WEB版)