厚労省が新型肺炎の研修会、情報不足に医師ら質問殺到

厚生労働省は9日、新型肺炎(SARS)の患者を受け入れる
予定の「感染症指定医療機関」に対する初の研修会を、都内で
開催した。

参加した医師からは「患者を十分に隔離できない」「排せつ物
や検査装置の消毒はどうするのか」――などの声が上がり、す
でに診療拒否がある実態も指摘された。SARSの情報が医療
機関に十分伝わらず、専門家であるはずの医師の間にも不安や
混乱が広がっている様子が浮き彫りになった。

研修会には、感染症法が定める感染症指定医療機関などで患者
の診療にあたる医師ら約240人が参加。国立国際医療センタ
ーの岡慎一部長が、感染の恐れがあるとして診察した患者の実
例や院内感染防止策などを説明した。

岡部長は「中国から帰国し、熱があるというだけで、何か所も
の病院で診察を拒否された人がいた。こうしたことが続くと、
患者は病院に行かなくなり、SARSが流行するきっかけにな
りかねない」と話し、診療拒否を厳しく戒めるように呼びかけた。

一方、会場の医師からは、「検査室や廊下の消毒はどこまで必
要か」「外来で患者が来る場合、交通手段はどうすればいいか」
「感染が疑われた人の退院基準を教えてほしい」「患者が幼児
の時は、母親は一緒に入院するのか」といった質問が殺到し、
未知の肺炎に対する現場の困惑をうかがわせた。

(2003/5/9/21:17 読売新聞WEB版)