台北、地下鉄乗客にマスク着用義務付け

【台北=若山樹一郎】台湾で、新型肺炎(重症急性呼吸器症候
群=SARS)の感染が拡大、当局は、公共交通でのマスク着
用義務化や、アパートの住民隔離などの対策に追われている。

台北市の馬英九市長は10日、地下鉄と新交通システム(MR
T)の乗客に対し、11日からマスク着用を義務付け、従わな
い者には罰金を科すと発表した。台北市内には台北駅を中心に、
計7路線(総延長66キロ)の地下鉄とMRTが運行しており、
1日平均約95万人が利用している。

台湾の交通部(交通省)は8日から、路線バスや長距離バスな
どの公共交通機関とタクシーの運転手にマスク着用を義務付け
ている。

台北市では9日、新型肺炎によるとみられる死者が発生した市
南西部の公共賃貸アパートの140世帯、約470人を2週間
の強制隔離措置にした。

台湾の衛生当局が10日発表した新型肺炎による死者数は、前
日より5人増えて18人。感染者数は、23人増加して172
人となった。感染者が1日で20人以上増えたのは初めて。世
界保健機関(WHO)は9日、台北市をこれまでの「中度」感
染地域から、北京市と同様の「重度」感染地域に引き上げている。

(2003/5/10/20:50 読売新聞WEB版)