新型肺炎に特効薬?治験中の風邪薬に可能性

【ワシントン=笹沢教一】臨床試験中の風邪薬から新型肺炎
(重症急性呼吸器症候群=SARS)の特効薬を作り出せる可
能性があることを独リューベック大学の研究チームが突き止め、
13日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。

この治療薬は、米製薬大手ファイザー社が米国内で臨床試験中
の「AG7088」。鼻に噴霧して使用する新薬で、風邪の原
因となるライノウイルスが作り出すたんぱく質の働きを妨げ、
ウイルスの増殖を防ぐ効果があるとされる。

研究チームは、SARSウイルスが作るたんぱく質の構造を分
析した結果、ライノウイルスのたんぱく質によく似ていること
を発見した。「AG7088」を改良すれば、SARSウイル
スの増殖を防ぐ薬になる可能性があるとしている。

◆ライノウイルス=風邪の3―5割は、ライノウイルスが原因
とされている。特に春や秋など季節の変わり目に感染しやすい。
従来の風邪薬は熱などの症状を緩和するだけだが、最近は、ラ
イノウイルスの増殖を直接抑える特効薬の研究が活発になって
おり、ファイザー社の「AG7088」もその一つ。

(2003/5/14/13:08 読売新聞WEB版)