新型肺炎、未発症なら感染しない…WHO見解

新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)について、世界
保健機関(WHO)は15日、これまでの感染形態を分析した
結果として、「感染を広げるのは発症患者だけ。患者と濃密な
接触しない限り感染しない」との見解を発表した。

SARS拡大で感染地域からの渡航者に対する過剰反応や、各
種行事の中止などが世界各地で相次いでいることが背景にある。

WHOは同時に、「感染地域からの渡航者でも、症状がなく、
可能性例の肺炎患者と濃密に接触したことがない人は入国先で
無条件に大歓迎されていい」と強調している。

WHOによると、SARSの感染は、発症した感染者のみから
拡大している。さらに感染者は、発症者を治療した医療関係者
や同居者、発症者のつばや排せつ物に直接ふれた人など、発症
者と濃密な接触歴がある人に限られている。

ただ、1人ひとりは感染防止や拡大に対する注意が必要なため、
10日以内にSARSの疑いがある人と接触した人は、入国後
に現地医療機関に連絡し、入国後10日以内に発症した場合は、
滞在先の部屋にとどまり医療機関に連絡して指示に従うなどの
対応も呼びかけた。

国内では先月、香港の日本人学校に通う児童3人の保護者が一
時帰国して国内の学校への転入を申し入れたが、地元教育委員
会などから感染への不安を理由に断られた例があった。海外で
も、隔離を解除された地域の住人に差別が広がるなど、混乱が
続いている。

米疾病対策センター(CDC)も、流行地からの参加者が多い
ことを理由に国際会議などを中止、延期する必要はないと勧告
している

(2003/5/16/22:08 読売新聞WEB版)