新型肺炎疑いの台湾医師滞在、ホテルの客ら調査

接触の可能性がある関係者を調査へ――。日本から台湾に戻っ
た台湾人医師が新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)
に感染している疑いがあることから、厚生労働省は16日夜か
ら、医師が宿泊したホテルの従業員や宿泊客の健康調査に乗り
出した。

厚労省は「医師はせきなどの症状がなく、日本での感染拡大は
考えにくい」としているが、大阪府など指示を受けた関係府県
は対応に追われた。

厚労省によると、この医師は今月8日、台湾人27人のツアー
で来日、大阪市内のホテルに宿泊した。9日に同市内で夕食を
とった後に発熱したが、自分で解熱剤を飲んで旅行を続け、京
都市内や兵庫県内、四国を回って、13日に台湾に戻った。

厚労省が関係府県に健康調査を指示したのは、発熱後に宿泊し
た大阪、京都、香川、兵庫のホテル。従業員と宿泊客の健康状
態を調べるよう求めた。

日本滞在中の症状は発熱だけで、せきなどの症状はなく、厚労
省はSARSに感染していたとしても、ウイルスを拡散させる
ことは考えにくいとしている。

一方、厚労省と外務省は、医師が台湾に戻る際に使った13日
の日本アジア航空217便に乗り合わせた9人の日本人乗客の
健康調査を始めた。厚労省によると、9人は台湾におり、うち
1人については本人、他の8人については家族と連絡がついた
という。9人の機内の座席は、いずれも台湾人医師とは2メー
トル以上離れていたといい、「感染した可能性は低い」として
いる。

(2003/5/16/23:50 読売新聞WEB版)