新型肺炎の経済影響懸念が30社…本社景気アンケート

読売新聞社は18日、全国の主要企業100社を対象にした景
気アンケート調査(5月調査)の結果をまとめた。

中国などで被害が拡大する新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=
SARS)の日本への直接的な影響を懸念する企業が目立った
のが特徴で、中国の経済成長の鈍化などにとどまらず、日本へ
の旅行・出張の手控えや、日本の生産活動への影響を不安視す
る企業が計30社に達した。

景気認識については「停滞」または「後退」の状況にあるとし
た企業が計94社に上り、昨年11月の前回調査(88社)か
ら増加した。

SARSを巡っては、日本企業の間で中国や台湾からの駐在員
引き揚げなどが相次いでいるが、回答(複数回答)では、「中
国などの生産停滞で、日本への完成品や部品の輸出などが滞る」
とした企業が33社、「中国の成長が腰折れする懸念も出てく
る」が48社あった。

この2つの回答は、中国などでの被害が間接的に日本に影響を
及ぼす懸念もあることを示しているが、それにとどまらず、
「日本への旅行客や出張者も手控える傾向が出てくる」(23
社)、「日本国内の生産活動も停滞する」(7社)と日本が直
接的な打撃を受けることを懸念する指摘が相次いだ。

景気認識では、73社が「停滞状態にある」と回答、「緩やか
に後退している」も18社、「急速に後退している」も3社あ
った。回復期にあると回答したのは、わずか6社(前回調査1
2社)で、景気認識の悪化が鮮明になった。

景気の先行きへの懸念材料(複数回答)としては、「個人消費
の低迷」(57社)、「海外経済の悪化」(55社)、「金融
システム不安(不良債権処理問題)」(42社)、「株価の下
落」(37社)などが多かった。

(2003/5/18/20:21 読売新聞WEB版)