日本人との接触ない…台湾人医師が強調

【台北=若山樹一郎】日本への観光ツアー後、新型肺炎(SA
RS)感染が確認された台湾人医師(26)が勤務する台北市
の馬偕記念病院は17日夜、この医師の声を録音したテープを
公表した。

その中で医師は、日本への出発前には発熱や頭痛などの症状は
なかったと説明し、「(9日夜に)熱が出たが、日本は寒かっ
たので普通の風邪かと思い、薬を買って飲んだ」と述べた。日
本滞在中は発熱などの異常はなかったが、台湾に戻った直後の
14日午後、頭に不快感があったため、同院で受診したという。

医師はまた、「日本ではすべて団体で行動し、日本人の友人も
なく、訪ねた人もいなかった」と、日本人へとの接触が無かっ
たことを強調した。

同院によると、18日午前の段階で、医師には発熱やせきはな
いが、肺炎の症状が出ているという。14日に2900だった
白血球数は、17日夜には3700に上昇している。

同院では、救急治療科に勤務するこの医師が新型肺炎患者に直
接接触しておらず、出発当時の健康状態も良かったとして、台
湾当局が定めた渡航制限に該当していなかったことを重ねて強
調している。

その一方で、黄俊雄・院長は「本院医師が、感染を知らないま
ま日本に旅行し、日本の友人に混乱と恐慌をもたらし、深くお
わびする」との声明を発表した。

台湾の夕刊各紙によると、陳建仁・衛生署長(衛生相)は18
日、「医師は感染を知らずに日本に行った。処分すべきとは考
えない」と語った。

(2003/5/18/21:18 読売新聞WEB版)