関空の検疫所職員、台湾医師の隔離情報を得ながら放置

関西や四国を観光ツアーで回った台湾人医師が新型肺炎(重症
急性呼吸器症候群=SARS)に感染していた問題で、この医
師が日本に滞在していたという情報が15日夜、関西空港内の
厚生労働省関西空港検疫所に伝えられながら、職員が情報を伝
達せず、対応が遅れていたことがわかった。

同検疫所は「組織的な対応に問題があった」として、的確な対
応を行える体制作りを始めた。

同検疫所によると、15日午後7時半ごろ、大阪市内の開業医
(64)から「5月上旬に関西空港から入出国した台湾人医師
が、SARSの疑いで台湾の病院に隔離されている」と電話が
あった。しかし、電話を受けた職員は、この情報をだれにも伝
えなかった。

その後、同検疫所に16日午前9時すぎ、台湾の衛生当局ルー
トで事実を知った日本アジア航空関西空港支店から連絡があり、
厚労省の本省に伝え、事実確認を開始したという。

同検疫所は、電話を受けた当時、海外から到着便が相次いだう
え、機内でSARS感染の疑いがある旅客が出たという情報の
確認に人手を取られ、通常の半分の職員2人で旅客の検疫作業
に追われたため、情報を見逃すことになったと釈明している。

その後、17日になって外部から検疫所に「情報が入っていた
のではないか」との指摘があり、内部調査した。今後、勤務時
間外でも課長補佐級の職員などが携帯電話で連絡を受けられる
よう所内の連絡体制を見直した。

(2003/5/20/11:41 読売新聞WEB版)