新型肺炎、米大がワクチン生産へ

【サンノゼ(米カリフォルニア州)=館林牧子】新型肺炎(重
症急性呼吸器症候群=SARS)のウイルスが作るたんぱく質
を合成することに、米カリフォルニア大アーバイン校のチーム
が19日までに成功した。

研究チームによると、同ウイルスのたんぱく質の合成に成功し
たのは世界で初めて。これを使ってワクチンを合成し、今月末
からサルを使ったワクチンの安全性と有効性を調べる実験を開
始する予定だ。

成功したのは、同大ウイルス研究センターのフィリップ・フェ
ルナー研究員ら。公開されたウイルスの全遺伝情報(ゲノム)
配列から、ウイルスの殻の表面にある「スパイクたんぱく質」
と、ウイルス内部に存在する「nたんぱく質」の2種類を合成
した。これらのたんぱく質を注射すると、ウイルスに対する免
疫ができ、感染を予防できる可能性があるとして、研究チーム
では動物実験の開始を急いでいる。実験には数か月かかる見通し。

一方、米メリーランド州のバイオ企業「ジェンベック」社も遺
伝子工学の手法を用いたワクチンの生産を、今週中に始めるこ
とを明らかにした。こちらは、風邪の原因になるアデノウイル
スを加工し、増殖力を失わせた上で、SARSウイルスのDN
Aの断片を組み込んで作製する。

(2003/5/20/14:35 読売新聞WEB版)