北京市が出稼ぎ者Uターン警戒、新型肺炎再拡大を懸念

【北京=竹腰雅彦】新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SA
RS)拡大の鈍化傾向が見られる北京市は、感染を恐れて市
外に脱出した「民工」(出稼ぎ農民)のUターンに警戒を強
めている。同市SARS対策班によると、今月半ば時点での
市の流動人口は263万人で、4月前半に比べ60万人も減
少。こうした人口の再流入が、新たな感染の導火線になりか
ねないためだ。

同市は、SARS対策で検査や治療が徹底されてこなかった
民工に対し、健康管理、経過観察、治療の各段階において、
一般市民と全く同じ措置を取ると宣言。市内に入る際はもち
ろん、居住地域、職場に入る際にも検疫を徹底し、賃貸住宅
を使う民工全員に登記を義務づけるとした。

住宅の貸主や雇用主は、民工の衛生管理に対して、責任を負う。

約7000人の民工が働く同市昌平区の建設現場では、雇用
主の企業が、1人ずつ顔写真がはられた民工名簿を作成して
いる。企業担当者は、市当局の案内で訪れた記者団に対し、
「1日2回の検温記録、故郷の住所も記載されている」と管
理の徹底ぶりを強調した。

(2003/05/21/23:57 読売新聞WEB版)