新型肺炎で「監視強化」などの決議案採択…WHO総会

【ジュネーブ=大内佐紀】世界保健機関(WHO)年次総
会は最終日の28日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=
SARS)を「21世で最初の重大な感染症」と規定し、
国際監視体制の強化などをうたった対策決議案を採択した。

同決議は、現在、コレラ、ペスト、黄熱病のみが指定され
ている「国際保健規則」を、「SARSの経験や教訓を考
慮しつつ2005年に改正する」とし、SARSを対象疾
病に加えることに含みを持たせたほか、感染拡大防止のた
め、加盟国の通報義務を定めることなどが盛り込まれた。

また、WHOが必要と判断した場合、対象となる政府と協
力する形でWHOが現地調査を実施するようWHO事務局
長に求めた。SARSが国際問題化した初期の段階で、中
国がWHOへの協力に難色を示したことを念頭に置いたも
のだ。

一方、決議には、「WHO憲章に合致する形で、SARS
対策に関するすべての支援要請に適切に対応するようWH
O事務局長に求める」との文言が入った。日米などは、こ
れによりWHOに加盟していない台湾への支援を促進でき
ると解釈している。

(2003/05/28/20:35 読売新聞WEB版)