WHO、中国の新型肺炎対策に「苦言」

2003/06/13/10:38読売新聞WEB版

 【ジュネーブ=大内佐紀】世界保健機関(WHO)は12日夜、中国を訪れたヘイマン感染症対策部長ら新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)対策にかかわる幹部らが、中国当局との会談の中で、<1>SARSの感染を迅速に把握する常設監視メカニズムの欠如<2>WHOからの情報提供要請に対する中国当局の対応の遅れ<3>情報分析の遅れ<4>感染ルート特定の遅れ――などへの懸念を指摘したことを明らかにした。

 特に、感染ルート特定の遅れは深刻で、最近では、北京での感染者のうち7割が、「ほかのSARS感染者と接触した覚えがない」と答えているという。情報提供や分析の遅れについて、WHOは、地方自治体から中央政府に情報が提供される仕組みに構造的な問題があると見ている。

 また、ヘイマン部長は、SARSの感染源と見られる中国で、SARSの原因を特定するため、今後中国とWHOが協力を深める必要性を強調した。

 一方、WHOが12日夜まとめた世界のSARS感染状況によると、SARSによる死者数は前日から1人増え790人となり、感染者(感染可能性例も含む)は前日比10人増え8445人となった。


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