中国・広州の野生動物市場ガラガラ、新型肺炎“直撃"

読売新聞WEB版
2003/06/20/00:07

  食用の野生動物を扱う中国伝統の「野味市場」が新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の影響で、かつてない打撃を受けている。

 「中国南部で食用に珍重されるハクビシンが原因」などとする説が出て以来、中国当局が一切の野生動物の流通・販売をストップしているためだ。

 「収入はゼロ。市場に店を出す家賃も払えない」。広東省の省都・広州市郊外にある野味市場。売り物の動物も無くなり、閑散とする市場で、大型ヘビを扱うという女性経営者は嘆いた。

 「これまで野味が原因で病気が流行したという話は聞いたことがない」。からっぽのオリを前にして途方に暮れる男性経営者は、当局の取り締まり強化に対し「過剰反応だ」と反論する。

 SARS拡大阻止に躍起の広東省は国家保護級の野生動物を食べると1万元(約14万円)の罰金という罰則強化の方針を打ち出した。中国調理師協会は、野生動物を材料に使うことを禁止する通知を出した。

 市場の関係者によると、売り物の動物は今月初旬に一斉に回収された。広州市郊外にこうした動物専用の「隔離施設」が作られているという。 (中国広東省広州市で、関泰晴)

(2003/6/20/00:07 読売新聞)


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