京都の新型肺炎指定病院、“発熱患者"入院を拒否

読売新聞WEB版
2003/6/20/20:45

  新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)に感染した可能性のある患者の入院先に指定されている京都府内の公立病院が5月下旬、中国から帰国後に高熱を出した患者について「院内感染や風評被害が心配」と入院を拒否し、大阪市内の病院に転院させていたことが21日、わかった。

 患者は結果的には「へんとう腺炎」だったが、医療機関の受け入れ体制の不備が改めて問われそうだ。

 関係者によると、患者は帰国して約1週間後、38度以上の熱が出たため第2種感染症指定医療機関の公立病院に救急搬送された。患者は肺炎の兆候はなかったが、抗生物質を投与しても熱が下がらなかったため、京都府が厚生労働省と協議して入院を指示した。

   しかし、病院側は「もっと設備の整った医療機関で受け入れてほしい」と主張。地元自治体も同じように訴えたため、府はエボラ出血熱、ペストなど高い致死率の感染症が対象で施設面の基準が厳しい第1種指定の大阪市内の公立病院と交渉。患者は約70キロ離れた病院に運ばれた。

(2003/6/21/14:33 読売新聞)


もどる