【ジュネーブ=清水真人】世界保健機関(WHO)は15日、カナダのバンクーバー郊外の老人ホームで呼吸器系の疾患が集団発生し、うち10人から重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の原因ウイルスを検出したと発表した。必ずしも典型的なS
ARSの症状を示していないため、流行の再発と断定するのは避けているが、患者の
隔離など対応を急いでいる。
WHOによると、老人ホームの入居者140人中97人、スタッフ160人中46人が似た呼
吸器系疾患の症状を示している。カナダ保健当局はウイルス検査でいったん全員を陰
性と判断したが、再調査した結果、10人について陽性という結論に達した。施設と患
者の隔離や、患者と部外者の接触経路の追跡などに全力を挙げている。
WHOはSARSウイルス検査が科学的にまだ完全には確立できていないとの立
場。高熱や呼吸困難、レントゲン検査による肺炎の症状などの所見を満たすかどうか
を診断基準としている。WHOは陽性の10人が「基準に当てはまらない軽度の症状」
と強調する半面、前回の流行時にも比較的軽い症状の患者集団がいたことから、カナ
ダに追加情報を求めている。
SARSは、WHOが3月12日に世界的な大流行を警告した後、中国や香港、シン
ガポールなど中華圏を中心に猛威を振るい、7月5日に終息宣言するまで死者812人、
感染者8439人を出した。中国南部で動物から人間にウイルスが感染したのが起源と見
られているが、未解明の点が多く、WHOは冬場の再流行の恐れを指摘している。
日経新聞 http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20030815d2m1502m15.html WHO:
World Health Organization http://www.who.int/en/
バンクーバーでSARSに似た病気が流行
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030815-00000578-reu-int [バンクーバー(カナダ) 14日 ロイター] カナダ保健当局は14日、バン
クーバー郊外の老人保健施設で重症急性呼吸器症候群(SARS)に似た病気が流行
し、調査中であることを明らかににした。 この病気で、少なくとも3人が死亡した
可能性があるという。 当局は、この病気の症状はSARSとは異なると強調しているが、予備検査でSA
RSに関連があるとみられるウイルスが検出されたため、念のため隔離などの措置が
取られた。 当局者によると、この病気の流行は同施設だけの限定的なものとみられ
る。患者の症状はこれまでのSARSの定義に一致しないというが、SARSの亜種
である可能性は捨てきれないという。 この老人保健施設では先月、呼吸器の病気に
より3人が死亡し、トロントを襲ったSARSが発生したのではないかとの不安が高
まった。同施設では同じ時期にこのほか4人が死亡しており、現在、死因を調査中だ
という。 (ロイター)
[8月15日15時8分更新]
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