新型肺炎に中国警戒、北京は11月から緊急体制

読売新聞
2003/9/22/20:36

 【北京=竹腰雅彦】世界保健機関(WHO)が新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)再流行の可能性を指摘する中、今春の流行で大打撃を受けた中国が警戒を強めている。

 中国国内では、8月16日に北京市で最後の患者が退院して以来、疑わしい例を含め患者は出ていないが、中国衛生省は19日、早々とSARSの患者数や発生地域など感染状況の公表を始めた。シンガポールで新たな感染者が確認されたことなどを受け、市民に注意喚起を促すものだ。同省はまた、全国の病院に今月末までにSARS患者発生を想定した訓練を行うよう指示している。

 今春、感染者2521人、死者193人を出した北京市は15日、インフルエンザの予防接種を例年より1か月早く開始。流行時期が重なり、初期症状も類似しているインフルエンザを極力抑え込み、SARS認定や隔離作業で混乱を回避する狙いだ。仮にSARS患者が出た場合、経済の悪影響やパニックを防ぐため、感染者が1人、5人以上、約50人の3段階に分けて施設閉鎖などの措置をとる。今春のように全市域、全市民を対象に対策を講じるのは感染者50人の時点という。

 また、同市は11月1日から全ての衛生関係部門が「緊急体制」に入る。医療機関の連携不足が感染拡大を招いた教訓を生かし、24時間体制で感染状況の報告を徹底するという。

(2003/9/22/20:36 読売新聞)  


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