新型肺炎で出国減、上半期の経常黒字拡大し8兆円に

読売新聞WEB版
2003/11/12

財務省が12日発表した今年度上半期(4―9月)の国際収支状況(速報)によると、海外とのモノやサービスの取引などを示す経常収支の黒字は、前年同期比20・0%増の8兆3520億円と、半期ベースで2期ぶりに拡大、統計が比較可能な1985年度以降で過去最大となった。

 輸出入ともに順調で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易黒字が3期連続で増加した。一方で、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の影響で、海外旅行などの日本からの出国者数が前年同期比34・4%も減り、モノ以外の取引の収支を示すサービス収支の赤字が大幅に縮小した。

 モノの輸出入を示す貿易収支では、輸出入ともアメリカ向けは減少したが、アジアや欧州向けが拡大した。輸出は前年同期比5・1%増の25兆8266億円と3期連続で増加し、過去最大を更新した。輸入も、原油や天然ガスなどの輸入増で、6・5%増の19兆7937億円と2期連続で増加した。この結果、貿易黒字は0・8%増の6兆329億円だった。

 サービス収支は、海外旅行の低迷などを背景に、赤字額が39・8%減の1兆6282億円と2期連続で減少、88年度以降では赤字が最小となった。海外投資に伴う所得収支の黒字は、3・6%増の4兆2934億円だった。

 同時に発表された9月の経常収支の黒字額は前年同期比37・6%増の1兆5890億円で、3か月連続で黒字が拡大した。

(2003/11/12/12:30 読売新聞)


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