新型肺炎初報告から1年、中国では再流行へ厳戒態勢

読売新聞WEB版
2003/11/18

【北京=竹腰雅彦】新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染例が中国広東省で初報告されてから16日で1年を迎えた。中国衛生当局は、今春にかけ本土だけで5300人以上の感染者を出した大流行を教訓に、感染拡大を阻止するための厳戒態勢に入った。

 中国では11月から、衛生関係部門が24時間体制でSARS発生に対応する「緊急体制」を敷いている。病院間の連携不足が感染を拡大させた経緯から、5日には全国約1万3000の医療機関と農村部約1万の衛生機関が感染情報を共有するコンピューターネットワークも設置した。

 また、事実上の「患者隠し」と世界の非難を浴びた情報公開についても、中国衛生省は9月19日から、感染状況の公表を早々と開始。「SARS発生の把握と同時に社会に公布する」と宣言している。

 感染者2521人、死者193人を出した北京市では、流行時期が重なり、初期症状が類似するインフルエンザを抑え込むため、予防接種を例年より前倒しして市民に奨励。SARSの認定や隔離作業で生じる混乱回避が狙いだ。



(2003/11/18/22:24 読売新聞)


もどる