2年前に新型肺炎ウイルス 香港大グループが発表

共同通信
2003/12/26

 昨年11月、中国で初めて人間への感染が確認された新型肺炎(SARS)の原因ウイルスが、2年以上前に香港で一部の人に感染していたことが分かった。香港大のグループが26日までに、米疾病対策センター発行の専門誌に発表した。

 同グループは、ウイルスはもともとは動物から感染したと推定。当時は人間の体に十分適応していなかったため感染力が小さかったが、人間への感染を繰り返すうちにウイルスが進化し、今年春の爆発的流行につながったとみている。

 同グループは、2001年5月に、B型肝炎の調査の一環で採血して冷凍保存してあった香港に住む中国人938人の血清を分析。約2%にあたる17人の血清から、SARSコロナウイルスの抗体を検出した。17人には採血当時、肺炎などの症状はなかったという。

 同グループはこの結果から、SARSウイルスは昨年11月に突然、動物から人間に感染したのではないと指摘。「過去15年間に拡大してきた中国広東省の食用野生動物市場が、同ウイルスが動物から人間に感染を繰り返す理想的な場となり、ウイルスの進化を速めた」としている。(共同通信)

[12月26日7時10分更新]


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