「重大脅威でない」 中国SARSでWHO局長

共同通信
2004/04/27

 【マニラ26日共同】世界保健機関(WHO)の尾身茂(おみ・しげる)・西太平洋地域事務局長は26日、マニラ市内で記者会見し、中国での新型肺炎(SARS)発生状況について「今のところ公衆衛生への重大な脅威とは考えていない」と述べ、冷静な対応を呼び掛けた。

 尾身氏は「確認例、疑い例の(個々の)つながりが分かっており、どのように発生したか把握できている」と指摘。昨年のアジア地域での大発生と違って今回は「動物からの感染や、地域全体での感染を示す証拠がない」と分析した。

 ただ、(1)最初の確認感染者である安徽省の大学院生が北京と同省間を列車で往復、多数の乗客と接触した恐れがある(2)5月の中国の連休で出入国者が増える(3)大学院生を北京で治療し、感染した看護師からさらに3次感染の疑い例が出た?などを懸念材料として挙げ、「WHOは高度な警戒態勢を取っている」と強調した。

 また、昨年は病院での感染拡大が問題となったことから「安徽省と北京で5つの病院が関与している」ことも心配される材料だとした。

 ワクチン開発では「一般に使用できるようになるまでに少なくとも4、5年かかる」との見通しを示した。

 中国政府によると、今回の新型肺炎の発生状況は、26日現在、感染者が2人、感染疑い例が6人。中国疾病予防センターが感染源との疑いが持たれている。

(2004/04/27 共同通信)


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