中国、SARSの疑いで1人死亡 2人感染1人疑い例も

読売新聞WEB版
2004/04/23/22:54

中国衛生省は23日、北京市と安徽省で、新型肺炎SARSに感染した患者と、感染の疑いのある患者がそれぞれ1人ずつ、計4人確認された、と発表した。このうち、安徽省の感染の疑いのある女性は19日に死亡した。患者のうち2人は北京の防疫機関の実験室で研究しており、ここでウイルスに感染後、入院した病院の看護師や付き添いの家族へ感染が広がった、と衛生当局はみている。

 世界保健機関(WHO)が各地で出していた感染地域指定を昨年7月に解除して以降、中国では今年1月に広東省広州市で4人の感染が確認されたが、他の地域での感染確認は初めて。また、死亡した女性の感染が確認されれば、昨夏以降では中国で初めてのSARSによる死者となる。

 衛生省によると、安徽省の医科大院生の女性(26)が3月、北京市疾病予防対策センターの実験室で研究した後、同月下旬に発熱が始まり、肺炎と診断されて北京市内の病院に入院した。4月初めに安徽省に戻り入院を続けていたところ、付き添っていた母親(53)が発熱。母親は19日に死亡した。

 衛生省は23日に医科大院生のSARS感染を確認し、死亡した母親も疑い例として、さらに詳しい調査を続けている。

 一方、22日にSARSの疑いがあると診断された女性看護師(20)は、医科大院生が3月末から4月初めに入院した北京の病院で接していた。23日には感染が確認された。また医科大院生と同じ実験室にいた同センター博士の男性(31)も発熱しており、23日に疑い例と診断された。

 衛生省はすでに、感染元とみられる疾病予防対策センターのウイルス病予防対策部門の建物などを封鎖した。感染が確認された2人の容体は安定しているという。

 北京では、患者に接触した188人のうち5人が発熱。うち3人は看護師の家族で、2人は同じ病室の患者とその付添者だといい、すでに入院している。また安徽省でも患者と接触した117人を調査し、1人が発熱している。

 医科大院生は3月下旬に発熱した前後から、北京と安徽省を列車で1往復半したほか転院も繰り返しており、こうした場所を通じて感染が広がっている可能性もある。



(2004/04/23/22:54 朝日新聞)


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