鳥インフルエンザ、タイ首相「2−3週間前から疑い」

読売新聞WEB版
2004/1/25/20:44

【バンコク=川辺徹】タイのタクシン首相は25日、同国で発生が確認された鳥インフルエンザについて、「(国内での発生を)2―3週間前から疑っていた」と述べた。感染地域視察で訪れた中部スパンブリ県で記者団に語った。国民に混乱が広がることを懸念したためと釈明しているが、情報を隠ぺいしていたとの批判が強まりそうだ。

 タクシン首相は、また、「公式の検査結果が出る前から、鳥インフルエンザに対応するのと同様の対策を取ってきた」と述べ、感染の広がりを防ぐ措置に手抜かりはなかったと強調した。しかし、鳥インフルエンザは、世界的な蔓延につながる新型インフルエンザへの変異を阻止するためにも、世界保健機関(WHO)などと連携した早期対策が必要で、タイ政府の情報公開の遅れによる初動のつまずきは、タイ国内だけでなく世界的にも影を落とす恐れがある。

 タイでは昨年から鶏の大量死が相次ぎ、保健省によると、これまでに700万羽以上が処分された。地元メディアは「昨年12月には国立研究所で鳥インフルエンザのウイルスが検出されていた」などと指摘しているが、政府は、今月23日に人への感染が確認されるまで、鳥インフルエンザの発生を否定してきた。

 タイ国内で人への感染は、子供2人について確認されたほか、56歳の男性が鳥インフルエンザで死亡していた可能性がある。ほかにも、2人が感染している疑いがあり、検査結果を待っている。

(2004/1/25/20:44 読売新聞)


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