スペイン風邪ウイルスは人に感染しやすい立体構造

読売新聞WEB版
2004/02/06/11:43

 1918年に2000万人以上の死者を出したインフルエンザ(スペイン風邪)の病原体は、その立体構造から、人に感染しやすいウイルスだったことを、英米の研究チームが残っていた遺伝子断片を分析して突き止め、6日付けの米科学誌「サイエンス」に発表した。

 スペイン風邪ウイルスは鳥に起源がある。それが人への感染力を獲得して流行したと考えられている。研究チームは、アラスカの永久凍土からとれたスペイン風邪ウイルスの遺伝子断片を元に、ウイルス表面に「とげ」のように突き出すヘマグルチニンという部位の立体構造を分析した。

 これを1934年に人から採取したインフルエンザウイルスと比べると、細胞に取り付く部位の構造が酷似していた。この部位は、細胞に感染する際に重要な役割を果たしている。

 今冬、鳥インフルエンザの人への感染例があるが、その感染力は極めて低いとされる。しかし、この研究は、細胞に取り付く部位の構造が変われば、世界的な流行が起きる可能性があることを改めて示している。

(2004/2/6/11:43 読売新聞)


もどる