豚から鳥インフルエンザのウィルス検出…ベトナム

読売新聞WEB版
2004/02/06/23:38

 【バンコク=川辺徹】AFP通信などによると、国連食糧農業機関(FAO)ベトナム事務所長は6日、ハノイ地域の豚の鼻腔から、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を検出したことを明らかにした。ウイルスは複数の豚で確認され、いずれも、すでに鶏からH5N1が検出された地域だという。昨年末に韓国など東アジア地域の鶏に端を発した今回の感染拡大で、人や鶏、アヒルなどの家禽(かきん)以外でH5N1が検出されたのは、これが初めて。

 H5N1が豚から検出されたことで、豚から人、人から人に広く流行する新型インフルエンザウイルスが出現する懸念が高まった。

 新型ウイルスは、鳥と人のインフルエンザウイルスに同時感染した人や豚の体内で、両方の遺伝子が混ざり合って出現すると考えられている。

 H5N1の人への感染力は極めて弱く、鳥から直接感染した人の体内で新型ウイルスができる可能性は、極めて低いとみられていた。

 しかし、豚は鳥と人のウイルスの両方に感染しやすいため、今回、鼻腔から検出されたウイルスが豚の体内で増えれば、人への感染力を強めた新型ウイルスが出現する恐れがある。

 新しいインフルエンザウイルスに対する免疫を持っている人はいないため、流行が始まれば規模が急速に拡大する危険がある。例えば1918年のスペイン風邪では、世界中で2000万人以上の死者が出た。

 国立感染症研究所の谷口清州・感染症情報センター室長は「新型ウイルス出現の可能性を正確に把握するため、豚への広がり具合を早急に調べる必要がある」と話している。

 ◆WHO報道官「確認されてない」

 【ジュネーブ=長谷川由紀】世界保健機関(WHO)の報道官は6日、ベトナムで豚から鳥インフルエンザH5N1型のウイルスが見つかったとされる問題について「予備的な検査が行われているが、現段階では、豚の感染は確認されていない」と述べた。報道官によると、米国、ベトナムの研究者が、感染地域にいる豚約300頭から検体を採取し、調査を行っているという。

(2004/2/6/23:38 読売新聞)


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