「鶏の感染拡大続く」国連機関が懸念 鳥インフルエンザ

朝日新聞WEB版
2004/02/02/22:23

香港の診療所で2日、インフルエンザのワクチン接種に
並ぶ家きん類の飼育・処理業者ら。香港では、鳥インフル
エンザの発生は確認されていないが、飼育・処理業者ら
6千人に人のインフルエンザワクチンの無料接種を始めた=AP


 国連食糧農業機関(FAO)のアジア太平洋地域事務局は2日、バンコクで記者会見を開き、鳥インフルエンザ(H5N1)について、「感染の抑制にはほど遠い」と危機感を示した。FAOと世界保健機関(WHO)などは、3日に各国の専門家による緊急会議をローマで開き、対応策を協議する。

 FAOは会見で、「タイ、中国、ベトナムでの状況を見ると、鶏の感染拡大は現在も続いている」と指摘。発生国での鶏の大量処分にかかわらず、感染の広がりは食い止められていないことに懸念を示した。

 そのうえで、(1)感染が確認された場所の生き物や機具などの移動は制限する(2)野鳥が感染源となっている可能性を考慮し、野鳥と養鶏場などの鶏の接触は絶対に避ける――などの措置を各国が緊急にとるべきだと勧告した。

 鳥インフルエンザは、日本や韓国を含む10カ国・地域で鶏への感染が確認され、これまでに4500万羽以上が処分された。WHOによると、感染が特に深刻なタイやベトナムでは人への感染も確認され、これまでに11人が死亡した。

 ベトナムでは、64省中、ホーチミン市やハノイ市を含む47省・市で鶏の感染が確認され、約800万羽を処分。政府は全土で省・市間の鶏の移動を禁じる措置に踏み切った。政府は「感染地域の鶏の約8割を処分した」としているが、すでに一般家庭の鶏などにも影響は広がっており、事態の正確な把握は難しい。

 タイでも、これまでに76県中36県で感染を確認し、約2600万羽を処分した。しかし、闘鶏の鶏など高価な鶏の処分を拒否する動きもあり、FAOは国際基準に基づいた処分を求めている。

 また、FAOは伝染病の専門家を5日に中国に派遣し、感染拡大阻止の対策に協力するという。

(2004/02/02/22:23 朝日新聞WEB版)

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