鳥インフルエンザ流行の波紋は、絶滅の危機にある国際保護鳥トキの人工増殖計画にも及んでいる。
日中両国が互いにすべての鳥の輸入停止措置をとったため、環境省が中国側に求めている親鳥提供のメドが立たない状態になっているのだ。同省は「猛威が収まるのを待つしかない」と困惑している。
日本産のトキは昨年10月に雌のキンが死んで絶滅したが、1999年と2000年に中国から贈られた計3羽のトキをもとに増殖が進められている。
日本側は、昨年10月に中国政府と結んだ共同保護計画をもとに、繁殖パートナーとなる別の親鳥1羽の提供を打診、交渉を本格化させる予定だった。しかし、鳥インフルエンザの発生で交渉は中断したままだ。トキは通常、3月から5月にかけて繁殖期。同省野生生物課は「交渉再開が可能な状況に早くなってほしい」と話している。
(2004/2/16/03:08 読売新聞)
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